まずは言い訳から…
そう言えば、いらすとやを見なくなって久しい。プレゼン資料やSNSでも、独特なタッチのAI生成画像が増えた気がする。

AI絵師の是非を問う声もある。仕組み上、学習データの著作権と無縁ではいられないからだ。
とはいえ、適切な指示さえ出せば痒いところに手が届くツールでもある。AI生成の画像に対して生成者として権利を主張するのは気が引けるのでやらないけれど、ちょっと試してみたいことがあり、絵が描けずに諦めてきた身として力を借りたいのである。
このシリーズでは、AIによる画像生成の結果を記録していく。そこから別のどなたかのイラストが生まれるのが本懐だ。生成された画像については著作権等を一切放棄するし、AIで何かこうデザイン的なものを生成することに対するあれこれも当然承知の上ではあることを、何卒あらかじめご了承いただきたい。
想像上の生き物と漢字
古今東西、架空の生物は数多い。もちろん漢字文化圏も例外ではない。伝説にしか現れない漢字や難読漢字の中にだけ棲む存在もいる。龍などはその代表で、おそらくまだ誰もその姿を見たことがないにもかかわらず、東西問わず人気者だ。
未知の漢字との出会いは、それだけで一つの探検になる。
とはいえ彼らは動物園に並ぶことはない。ならばせめて、今世にもイラストとして残っておいてほしい。標本でも剥製でもない、曖昧なかたちの保存をしてみたいのである。
…結局のところ、ただ会ってみたいだけなのかもしれないけど。
虫があらわす範囲
家で見たいかと言われると答えに困るが、虫の造形は面白い。生き物でありながら、どこかメカメカしい感じがある。YouTubeや虫籠を通していれば、いつまでも眺めていられる。
虫へんの漢字も魅力的だ。蜘蛛、蝗、茅蜩。魚へんほど主張が強くなく、つくりの美しさがよく見えるのがいい。
もう一つ面白いのは、その守備範囲の広さだ。
タコをなぜ虫へんで書くのか、という問題は誰しも一度は考える。考えるよね…?蛸のほかにも蜆や蛇など、今では「虫」と結びつきにくいものまで含まれている。もはや「生きていれば虫」なのかと言いたくなるほどだ。
虫の古い形が蛇を表していた、という説もある。だから蛇や蛟(水棲の龍や蛇)のような存在がここに収まっているらしい。

虹と虫
その中でもひときわ不思議なのが虹だ。雨上がりの空にかかる、七色の弧。
虹彩などにも使われるが、この字にも虫へんが付く。
虹はかつて蛇、あるいは龍の一種と考えられていた。それゆえの虫部である。世界各地でも、虹を蛇や龍に見立てる信仰は多い。たとえばアボリジニーの伝承では、虹の蛇が谷や川を形づくり、怒れば水害をもたらすという。空にかかる光の帯は、ただの現象として処理できないほど大きすぎたのだろう。
儒教の儀礼書『礼記』にも、虹は春に現れて冬に姿を消すと記されている。季節とともに現れては消えるそれは、やはりどこか生き物めいている。
虹霓
虹霓という言葉がある。主虹と副虹、あるいは単に「にじ」を指す。
副虹とは、主虹の外側に淡く現れるもう一本の虹のことだ。

この淡い方を霓といい、虹と霓で二本の虹を表す。二本並ぶその姿からか、虹と霓は雄雌の対と考えられていたらしい。濃い主虹が雄、淡い副虹が雌。七色の龍が二頭、空を横切るイメージだ。
出典の厳密さはさておき、この発想は魅力的だ。一度そう語られてしまえば、それはもう「いる」ことになる。空の高みに、対をなしてうねる二頭の龍が。
なお中国語で霓虹ni2 hong2はネオンを指す言葉でもある。
いざ、虹霓よ甦れ
ということで、AIで生成させてもらおう。繰り返しになるが、誰かの仕事を奪いたいわけではない。
むしろ逆で、漢字に棲む生き物を描く人が増えたら嬉しい。そのきっかけとして、不格好でも形を置いてみる。
これまで出て来た虹霓の特徴を整理すると以下の通り。
・7色に光る
・蛇または龍(今回は個人的な好みとして龍とする)
・濃淡の2本(虹と霓)
・虹は雄、霓は雌
・中国ではないが、谷や川と結びつく。また災害を起こせるほどの強大な神
これをもとにこんな感じでプロンプトを組む。

生成中…
生成中……
………………
……出た!!!

おお。虹であり、霓であり、龍でもある。雨上がりのような鈍く眩しい空に躍り上がる二対の龍。躍動感や一体感にはまだ余地があるが、ここから先の世界観を形作るのは誰かの手に委ねたいと思う。
この像が、虹霓を現実に呼び戻す一歩になればいいな。そう思えれば、AIで出したことへの後ろめたさも少し和らぐというもんだ。他力本願でごめんなさい。
次回予告
今回は虹と霓を扱ったが、自然現象で虫がつく字はまだある。
今度はこれまた好きな字、「蜃」を生成したいと思う。乞うご期待!!

