座という漢字
平日はパソコンを触ることが多いので、多くの時間をすわって過ごしている。オフィスチェアだったり座布団だったり自宅のちょっといいソファーだったり、生活の中で僕は多くの「座」を持っている。
座という字は今「すわる」という意味で使われることが多いが、王座や座席などに見られるようにもとは「すわる場所」を意味していた。「すわる」を意味する文字は、もっぱら坐であった。坐禅とか結跏趺坐とか、見覚えのある言葉も多いんじゃないだろうか。あとは坐骨神経痛か。
座と人と人
广(まだれ)がないだけで、二つの漢字は共通したパーツ坐を持っている。説文解字ではこの字を象形だとして、土の上に人が二人坐っている様子を指すと述べており、まあ正確な字源かどうかはここではあんまり問題としないでおいて。
実際、座という字の使われ方を思い浮かべてみるとどこか人が集まっている情景が重なる。食卓を囲んで団欒するとき、顔を突き合わせて会議をするとき、あとはみんなで宴会をするときとか?
楽市楽座で有名な商工業者の組合である座だってそうだ。星座も星の集まりだし。
このように、字としても場としても「人が集う」イメージを帯びた「座」。先日その印象にぴったり重なるロゴを見つけた。

人が4人いる!?
練馬駅から歩くこと7分。人が4人も集まった「座」には、下に「IMASU」と振り仮名を振られている。

⿸广⿻土⿱从从 と表せばいいのかな?(⿻→2要素を重ね合わせることを表す)「います」という居酒屋で、創作和食、特に鶏料理を出しているとのこと。
「います」は古語で「あり」「居り」「行く」「来」とかの尊敬語を表し、僕は大体「いらっしゃる」くらいのイメージをしている。動詞ではあるのでコトバンクとかには「坐す」とか「在す」という表記で載っていた。

普段の倍の人数が書かれている「座」、どういう雰囲気なのだろう。ぜひとも体感せねばならない。
練馬の居酒屋「IMASU」
黒と白を基調とした和モダンな店内では入口手前にカウンターがあって、向こうを見るとテーブル席、壁際には個室が並び少しコンパクトな作りに見えた。既にいくつかの団体客で賑わっていて(4人組もいた!)、まあこちとら1人で来店しているわけなのだが、既に店主が作ろうとしていたであろう「座」という場が実感を伴って現れる。
もも肉の炭火焼きをメインに、漬物やら飲み物やらを頼んで軽めの夕餉。日向鶏や焼酎が目立ったメニューで、ひょっとしたら九州にルーツがあるお店なのかな?とか思ったり。


とか言ってたらいぶりがっこが来た。バリバリ東北。

まだ炭火の香りが残る鶏ももは程よい弾力で焼き上げられていて、噛むたびにその存在感を増してくる。「座」を感じに来たはずなのに、否が応でも料理に没頭してしまうのを感じた。

僕以外のお客はみな団体のようだ。スーツ姿の男性たち、友人同士であろうマダム二人組、店主と馴染みの若者が友達を連れてきたりと、そこにはたくさんの「座」がありそれぞれの話に花を咲かせていた。
店名の由来を伺ってみたいとは思うけれど、夕食時にそんなことでお手を止めてしまうのも忍びない。それにこの空間に立ち入らせてもらったことで、⿸广⿻土⿱从从 という造字も肌で感じ取れた気がした。
おわりに
ああ、おいしかった。名刺もレシートもきっちりいただいてきて、一部には常用字体の座を使用していることを確認。まあ印刷の都合上仕方ないよね。


もしかしたら⿸广⿻土⿱从从 はロゴのみで使用しており、店の正式名称は「座」なのかもしれないな、とも今にして思う。

ということでIMASUは練馬駅からすぐ、美味しい鶏で一杯飲りたい方はぜひどうぞ。
