ハナキ?
道端で「花き直売所」だとか「花きセンター」だとかいう看板を見かけることがある。

「花き」という懐かしい響きに、小学校の地図帳の農産物グラフに書いてあったのを思い出してしまう。米やみかんに混じって急にひらがな混じりの語感が妙に浮いていて、なんとなく記憶に残っている人も多いはず。
でもやっぱりこうも思ってしまう。まだ漢字とかなの混ぜ書き表記なの??
そもそも「花き」はちょっと読みづらい。もちろんこれが「はなき」ではなく「かき」であることは知っている人も多いだろうけど、ぱっと見では花木とも紛らわしいし、なにより片側だけ急にひらがなになるので、目が一瞬つまずく。
「この店は花きだけを扱っている。」などと見たらもう、そんなキノコがあるのかと大発見に心躍ってしまうこと間違いなしだ。
「花き」はかなり珍しい漢字で書く
いや理由はわかるんだ。花卉という表記は初見ではまず読めない。これが例えば霹靂とか娑婆とかなら、勘でヘキレキとかシャバとか読める人もいるだろう。壁、沙などと連想させればいいし。
ところが卉からキという読みはまあ出せない。横に倒せばカタカナの「キ」に見えなくもない……かな?とかそういうのはさておき。

だいたい卉は学校で習わない文字だという事情もある。これを小学生やそこらの子が読む教科書にどんと載せるのは気が引けるといえば気が引ける。
日常でこの文字を単独で見ることはたぶんない。そんなこんなで常用漢字でもないし、公的文書や新聞では「花き」と混ぜ書きされることが多いのである。
「花き」の意味とは?
卉は草、あるいは草が盛んに茂るさまを意味していて、花卉といえば花や草木の総称のことを指す。
通勤中の花屋で見かけるチューリップだって、ホームセンターの園芸コーナーにひっそりと置かれた庭木の苗だって、仏具店にある榊だって花卉である。

そう言われて見るとどことなく茂った草の形に見えてくる卉だが、後漢の時代の字典では本当に草3つの形で書かれていた。
屮(くさ、これが2つ集まった艸は今の草かんむりの原型)を品の字のように3つ並べてみるとあら不思議。卉の字が現れる。

今は十とか廾とか似たようなパーツがたくさんあるし、卉を見ても中々草のことは想起しづらい。
万年不動の「花卉の王国」
そんな花卉、生産額では愛知県が60年くらい日本一を独走中。なんと日本の花卉市場の15%程度を占め、県内ではその地に合った多種多様な花が育てられている。
花の王国あいち https://www.flower-kingdom.aichi.jp/about.html
花卉の生産額といってもそのほとんどは「花」側。卉の方にも少し目を向けてみると、盆栽は香川が強かったり芝は茨城が強かったりと個性が出るが、観葉植物全般ではまた愛知が独走のようだ。
花の生産量で断トツの愛知には「花の王国あいち」というスローガンがあるが、見方によっては「花卉の王国」も担ってくれそうだ。
「花卉」表記も覚えていってね
ひらがなが混ざった表記からも、生産額や量の違いからも、花だけがイメージされやすい「花き」。
道端で「花き」を見つけたら、ぜひ卉についても思い出してもらえたら幸いである。
