隠岐の島旅行で出会った珍しい漢字まとめ

隠岐の島という地域

先日、隠岐諸島に行った。承久の乱で負けた後鳥羽上皇が流された地でお馴染み、島根県の上の方にあるあの島々である。

今回は島前どうぜん(西ノ島と中之島と知夫里島)、島後どうご(隠岐の島)の有人島すべてを回ることにした。

島根本土の港から…

フェリーに揺られ…(流石日本海。まあ揺れること揺れること)

揺られ…

はるばるやってきた。

その昔日本列島とユーラシア大陸は地続きになっていた。隠岐諸島は中間地点としてその証拠を数々残しているのだが、今では本州からは60kmくらい隔たりがあり独自の文化も色濃く残っている。

配流された後鳥羽上皇を元気づけるために始まったとされる牛突き(牛相撲)があったり…(このエピソードから分かる通り、隠岐の人たちは大体ものすごく優しい。「家で作ったから…」で干したイカをくれた人になんかは足を向けて寝られない。やばい)

結構激しい。特に横綱戦は一見の価値あり

多くの地域では有毒で食用に適さないアメフラシを食べたり…

べこ(アメフラシ)の佃煮

日本では珍しい、「牛に道を塞がれて前に進めない」体験ができたりするなんとも楽しい島なのである。

通して

もちろん海鮮や隠岐牛なんかも非常に美味しく頂いた(道を塞がれた仕返しである)。

隠岐牛は人呼んで「幻の牛」。島内だと結構お手頃価格だった

かような文化が醸成された中で、地域に根差した面白い漢字がいくつかあった。

中には地域に根ざしていないものもあるのだが、いくつかご覧いただきたい。

なお、垳や垈のように地域特有の字種は少なくとも今回では見つけられていない。ちょっと残念。

なんで読み方変わるの??

ともに島後にて撮影。こちらの2地名、頭の2文字が共通している。だがローマ字表記をよく見ると、それぞれ「つま」「つばめ」となっている。

都万は地区名である程度広いエリアを指すが、都万目はよく分からなかった。

因みに両エリアは重なってはなさそうだった。

隠岐の当て字たち

音に漢字をあてはめて、表音文字的な使い方をする当て字シリーズ。魚鍋菜さんではベコをいただきまして大変お世話になりました。

てか鍋を音読み「カ」で読むの初めて見たわ。

近辺の地名…?

隠岐の島南部で泊まった宿の部屋たち。波走は宿近辺のトンネルの名前で見た。いくつかは周辺の無人島を指してるのかな?

塩戸シャードが一番気になるのだが、調べてみると日本では珍しいアルカリ流紋岩でできた崖のあるエリアが近辺にあるらしい。そこにそういう名前がついてたことくらいしか分からなかった。

珍字だったらいいな

それぞれ陶、峰の誤字だろう…と思いつつ、まだ見たことのない字種なのではないかとロマンが拭いきれない。石偏の方は上から修正した上にこれを書いた跡すらあるし。

椀や碗のように、材質で偏を書き分けた…?みたいなことも考えたくなってしまうが、陶は別に土偏とかではないな。あと石かと言われると怪しい。

峰の方は時間の都合で周辺の探索ができなかった。この周辺はこう書くみたいな事実があれば面白いが…。結構しっかりした看板だし…。

いろいろな「隠岐」

いろいろな隠岐。

隠岐神社のポスターの字体に「正」の文字を含むものが見られ、なるほどこの地まで配流された天皇の無念が偲ばれるなとか思いかけたが、考えてみたら隠岐神社は20世紀に成立した比較的新しい神社だし鳥居の扁額とかに採用されている字体ではなかった。

他に宝隠岐たからじま隠岐楽おきらくなんてのも見つかった。てか推し隠岐て。お仕置き…

きなこ…?

位相が島根県本土にも広がるが、隠岐で買ったのでついでに紹介しようと思う。

青豆粉きなこ。そもそも大豆じゃなくない…?と思ったが、青大豆なるものが原料っぽいのでまあきなこか。

きなこといえば「黄粉」と書くイメージがある。因みに先日他の当て字きなこも見つけたので、そのうちまとめて紹介しようと思う。記事になるほど見つかるかな。

隠岐のスパイス、ふくぎ

隠岐には「ふくぎ」という植物がある。他の地域では一般にクロモジと呼ばれる樹木で、枝に黒い文字のような模様があることからそう呼ばれている。

たしかスパイスのような香りがした。この芳香から、枝は高級な爪楊枝の材料とされている。

隠岐の人々は古来よりふくぎと深く関わりを持ち、枝を煮出して飲んだり牛の胃薬にしたりしていたようだ。

そういった事情からか、隠岐ではふくぎ茶などの商品が各地でお土産として売られている。

福が来るという当て字をしていたという話もちらっと目にしたような気がするのだが、画像のとおり福来と福木という2種類の表記が認められる。

恐らく福木が最初の表記だろうが、福が来るというのもなんとも素敵な感性である。

からんま?

田作からんま。一般的には「たづくり」と読み、カタクチイワシを醤油とか砂糖とかで甘辛く煮たものを指す。田作りという名称は五穀豊穣を願いおせち料理に入れられる際に用いられるもので、普段は五万米ごまめとも呼ぶ。

「からんま」は山陰地方ないしは出雲方言のようだが、田作り/五万米どちらの意味合いが強いのかはあまり深掘りしていない。

その他

たるき。

たるきの拡張新字体。

とは家を支える土台のひとつ。棟木とか梁とか柱とか、家を支える木材は場所や役割によってその名を変える。その中でも屋根上にその傾斜方向へ向かって取り付けられているものが椽である。

拡張新字体は異体字のひとつで、常用漢字じゃないのに常用漢字と同じような形の変化を慣用的に行われてできたものである。

例えば「神をボウトクする」の一般的な漢字表記は「冒瀆」で瀆は学校では習わない字だが、常用漢字では賣は売と書く(こう書くと誤解を与えてしまうが、常用漢字制定にあたって新しく売という字体ができたわけではない)。これと同じ形で、ただ常用漢字には入っていないので別にこう書くことを奨励はされていない冒涜という表記が拡張新字体である。

「椽の拡張新字体初めて見るかも!」と思って撮った。

玉扆。知らない言葉だったので記録。扆は漢検一級の範囲ですらなさそう。

扆は玉座の後ろに立てられる斧型の文様を持った屏風の一種を指し、美称「玉」をつけて天皇のおわしますところを指すらしい。

隠岐で見かけた特徴的な文字はざっくりこんな感じ。例外はあれど文化的な流れを汲んだ文字に出会えるので、是非旅先では文字探しをしてみてはいかがだろう。

そうそう、それはそれとして。きなこ80gをどうやって成人男性1人で消費したらいいか誰か教えてはくれないだろうか。

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