塔のへつり

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福島県は何度行ってもいいものである。

まず食べ物が全部美味しい。震災の時は放射能による風評被害にも悩まされただろうが、依然として米も魚も果物も何度食べても飽きないほどである。以前訪問した時に初めて白河ラーメンを食べたが、歯ごたえのあるチャーシューにガツンと旨味の効いた醤油スープは家の近所にチェーン店が進出してくれないか本気で願うほどだった。

磐梯山や猪苗代湖など、雄大な景色でリフレッシュできるのもいい。雪の五色沼に転落して這々の体で脱出したトラウマはさておき。

今回用事をこなすついでに2泊くらいしていこうということで、いつものように観光先を特に決めずに旅行前日まで来ていた。

福島で行ったことないところ開拓するかー。スパリゾートハワイアンズとか気になるけど脚のリハビリ中だし楽しめないよなー。あ、そうだ、友達に栄螺堂オススメされたな。そこ見てから桃食って喜多方ラーメン食って目光食って帰るかなー?

とか考えながら地図を見ていたら、偶然福島南部で「塔のへつり」という文字列が見つかった。

GoogleMapより。「塔+の+へつり」で良いんだろうか

こういう時すぐに脳内に「へつりってなんだろう?地形の名前?ひらがなで書かれてるけど漢字表記はある?」と三文ブログのタイトルみたいな疑問が浮かんでしまうのだが、ともかく漢字で書くと「塔の岪」となるようだ。記憶の限りでは初めてお目にかかる文字。

旅先で珍しい漢字が見られる。それだけの理由で、即目的地にしてしまった。

……

………

…………往路が長い。福島県までだと道程は優に300kmを超え、しかも120km制限のイカれた高速道路も走ることになる。

岪とはなんだろう。現地でどのくらい用例が見つかるだろう。手書きの文字とかたくさんあったら嬉しい。

下調べもせずに抱いていた期待による衝動も薄れ、空腹と退屈に埋め尽くされてきた…。

塔のへつりは白河ICで降りて車で小一時間、南会津の下郷町にある。まずは腹拵えをしようと店を探したものの、なんだかんだで結構山間深くまで走ってしまった。

道の駅にきた

案内板には「塔のへつり」の文字。漢字でこそ書かれていなかったものの、長旅で疲弊した身に気力が蘇ってくるようだった。

「へつり」初対面!

逸る気持ちを抑え、まずは休憩。店舗を物色しつつ、桃のプリンが目に入ったので購入。福島だしね。

ついでに限定とか書いてあった揚げまんじゅうも注文して待つ。

商品が期待以上に素敵でテンションが上がってしまった。

まさかこんな可愛いプリンが来るとは

途中高陦の看板を見つつ目的地へ。

高陦(たかしま)

道を走り…(現地で初めて見た岪はこれとなった)

そろそろ!現地での「岪」初対面だ

踏切を越え…

こっちはひらがなだ

ついでに駅も見て…

駅名もひらがな
変な形の岩を指すのかな

着いた。これが塔の岪だそうだ。

一瞬モアイ像に空目。

駐車場に車を停め、「へつり」の下までは歩いていくスタイル。

へつりに向かう道中も様々な文字があった。

木彫りに手書きに(品もおもしろい)、ひらがなやマジックペン書き?もある。

また、近隣のスタッフによる岪の説明もあって嬉しい。

昔ここは海だったらしい。

少し調べた情報も付け加えつつ、岪とは断崖や川岸などの険しい斜面などを指すようだ。削り取る意味の動詞も関西の方言だが見つかった。

これを踏まえてもう一度見てみると、なるほど削り取られたあとの険しい斜面だというのが分かる気がする。

削り取られたから地表が剥き出しなんだね

もっと近くで見てみよう。さあ本願の岪へ。

頑丈そうな吊り橋
って思ってたら重量制限あった。確かに結構揺れた

こんな感じの橋を渡りつつ…

遂に岪とのご対面である。青々としているがところどころ地肌が剥き出しの断崖である。この塔のようなものがいくつか立ち並んでいる。

岪の周辺は歩くことができ、しばらくうろうろしていた。

この塔にはそれぞれ名前があったり急な石段を登ると虚空蔵菩薩が祀られていたりするのだが、他の記事に詳述はお願いしたいと思う。

僕はというとうろうろしながらずっと岪の用例を探していた。

といっても橋を渡ってから見つけられたのはこの1例のみであったが。

おそらく手書きで塔□岪とあるが、真ん中は土だろうか…?

塔のへつりは国の天然記念物だが、この碑は県南なんとかかんとかによるものだろうか(下の文字までちゃんと見ておけばよかった)。

調べてみると1943(昭和18)年に天然記念物の指定を受けている。同時期に指定された天然記念物を調べたら分かるのだろうか。いつか思い出した時に調査をしてみようと思う。

以上が「へつり」を探しに行った旅である。ここからまた用事を済ませたり馬刺しを食べたり、更にラーメンを3杯くらい食べたりして腹を壊すのだがそれはまた別のお話。

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